会期:
2008年12月9日~2009年3月22日
中国現代美術は、長きにわたった文化大革命が終了し、それまでの文化的鎖国状態から、海外の新しい美術の動向が少しずつもたらされるようになった1979年、北京のグループ星星画会の作家たちが、表現の自由を求め、声を上げたことに始まるとされています。
その後、中国現代美術は、1989年の天安門事件など政治的な状況の変化や、市場経済体制への移行による著しい経済発展を、きわめて直接的に反映しつつ展開してきました。
今回、本展を「アヴァンギャルド・チャイナ」と題したのは、欧米や日本ではすでに死語になった感のある「前衛(アヴァンギャルド)」が、中国においては実に積極的な意味を帯びてきたからです。文化大革命終了後、改革開放政策の流れの中で、中国の作家たちは、デュシャンやラウシェンバーグ、さらには当時最先端だったジェフ・クーンズまで、20世紀の近現代美術を一気呵成に受容しながら、極めて短期間の内に独自の表現を切り開いてきました。中国の現代美術が過激な実験性と批評性をまといつつ、他の国に類例のない特殊な展開を示してきたのは、こうした背景によるものです。
本展では、中国現代美術の独自性が芽生え始めた1980年代中ごろを出発点に、八五美術運動と総称される先鋭なグループの活動、資本主義を揶揄的に扱う「ポリティカル・ポップ」や民主化運動の敗北と挫折を味わった世代による「シニカル・リアリズム」を経て現在にいたる約20年の軌跡を、各時期を代表する作家たちの作品によりご紹介します。
日本においてこのように系統的に中国現代美術の流れをご紹介するのは本展が初めてであり、今日世界的に注目を集めている中国現代美術の歴史を知り、理解を深めていただくうえで、またとない機会になることと存じます。
黄 永砅 (ホアン・ヨンピン)
《『中国絵画史』と『現代絵画簡史』を洗濯機で2分間攪拌した》
1987年/1993年再制作 茶箱、紙パルプ、ガラス 76.8×48.3×69.9cm
ウォーカー・アート・センター蔵
王 広義 (ワン・グァンイー) 《大批判:尼康(ニコン)》 1992年
油彩・カンヴァス 148.0×119.0cm 個人蔵
張 暁剛 (ジャン・シャオガン) 《血縁:大家庭之四》1995年
油彩・カンヴァス 180.0×230.0cm 個人蔵
馬 六明 (マ・リウミン) 《芬ー馬六明》
1993年 写真(12点) 92.0×62.0cm 作家蔵
顧 徳新 (グ・ダーシン) 《1996年8月24日》 1996年
写真(10点組) サイズ可変 作家蔵
方 力鈞 (ファン・リジュン) 《シリーズ2 No.3》 1992年
油彩・カンヴァス 200.0×200.0cm 福岡アジア美術館蔵
張 洹(ジャン・ホアン) 《池の水位を上げる》
1997年 パフォーマン、中国・北京、ヴィデオ(DVD) 約6分 作家蔵
孫 原・彭 禹 (スン・ユァン+ポン・ユゥ) 《老人ホーム》 2007年
13組の電動車椅子とそれに乗った人物大の樹脂製の人形
展示サイズ可変 作家蔵
楊 福東 (ヤン・フードン) 《断橋無雪》 2006年
ヴィデオ・インスタレーション 約11分 作家蔵
曹 斐 (ツァオ・フェイ) 《ラビッド・ドッグス》 2002年
ヴィデオ(DVD) 約8分
協力:ツァオ・フェイ、ヴィタミン・クリエイティヴ・スペース
アヴァンギャルド・チャイナ展 講演会
「中国現代美術の20年」
講師:費大為(フェイ・ダウェイ/美術評論家)
アヴァンギャルド・チャイナ展 シンポジウム
「中国アヴァンギャルドについて」
パネリスト:費大為(フェイ・ダウェイ/美術評論家)、
方力鈞(ファン・リジュン/出品作家)、
黄永砅(ホアン・ヨンピン/出品作家)
アヴァンギャルド・チャイナ展 アーティスト・トーク
「黄永砅(ホアン・ヨンピン)に聞く」
登壇者:黄永砅(ホアン・ヨンピン/出品作家)、
中井康之(当館主任研究員)
アヴァンギャルド・チャイナ展 シンポジウム
パネリスト:黄永砅(ホアン・ヨンピン/出品作家)、
丁乙(ディン・イー/出品作家)、
楊福東(ヤン・フードン/出品作家)
モデレーター:中井康之(当館主任研究員)
アヴァンギャルド・チャイナ展 上映会
「胡同(フートン)のひまわり」2005年
監督・脚本:チャン・ヤン
上映時間:133分
アヴァンギャルド・チャイナ展 上映会
「胡同(フートン)のひまわり」2005年
監督・脚本:チャン・ヤン 上映時間:133分
アヴァンギャルド・チャイナ展 ギャラリートーク
(担当学芸員による作品解説)
アヴァンギャルド・チャイナ展 上映会
「胡同(フートン)のひまわり」2005年
監督・脚本:チャン・ヤン
上映時間:133分
開館時間
午前10時−午後5時、金曜日は午後7時まで (入館は閉館の30分前まで)
休館日
毎週月曜日
(ただし、1月12日(月・祝)は開館、1月13日(火)は休館。
また、2008年12月28日(日)−2009年1月5日(月)は休館)
観覧料
当日:一般 1,000円/ 大学生 500円
前売:一般 900円/大学生 400円
団体:一般 800円/ 大学生 400円