会期:2003年8月2日~9月23日
ヤノベケンジは1965年大阪府生まれ。1991年、京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。大学院在学中の1990年にキリンプラザ大阪コンテンポラリー・アワード'90の最優秀賞を受賞。以後、現代社会におけるサヴァイヴァルをテーマに様々な立体作品を制作発表、国内外の数多くのグループ展にも出品し、幅広い活動を行ってきた。近年は、リヴァイヴァルをテーマにし、未来への再生を謳う作品を発表している。
ヤノベは、1970年の大阪万国博覧会の跡地を遊び場として幼少期を過ごした。多くのパビリオンが解体される現場を目の当たりにして受けた衝撃が、彼の創作の出発点となった。ヤノベはそこに「未来の廃嘘」と新しい創造の可能性を見出したのである。その意味で、万博公園内にある当館は、ヤノベケンジの展覧会を開くのに最も適した場所であり、中之島の新館への移転を控えていた当館にとっても意味ある展覧会となった。
「MEGALOMANIA」(誇大妄想狂)と題された本展覧会は、ヤノベの過去の主要作品とともに、解体撤去されたエキスポ・タワーの部材を使用した新作など約40点を一つの妄想都市として構成・紹介した。そのパビリオン的な会場構成により、ヤノベが体験した「未来の廃墟」への時間旅行を、鑑賞者が追体験できるインスタレーションとなった。
本展覧会会期中には、作品を実際に鑑賞者が体験できる日をもうけるなど、数多くの関連行事が行われ、まるで遊園地を思わせるような親しみやすい会場構成と相まって、多くの子どもを含めて、12,000人を超える来館者が訪れた。