会期:2002年 2月14日~3月26日
「近作展」は、現在活躍中の中堅の美術家を紹介する個展で、毎回、新作を含む過去数年に制作された作品を中心に展示している。今回は、O JUNの作品を紹介した。
O JUNは、1956年東京生まれ。1982年に東京芸術大学大学院美術研究科油画専攻修士課程修了。当初、絵を描くことを無条件に習慣化してしまうことに疑問を感じ、ほとんど制作を止めた時期があった。また、1980年代後半には自作の合金ペンを使って実験的なパフォーマンスを試みたり、1990年から 1994年まで滞在したドイツでは写真による作品を手がけた。
しかし、この数年、紙にグワッシュやクレヨンあるいは鉛筆で、人物、家、痣(あざ)、校章、衣類などを簡潔かつ平板に描く独特の作品によって注目を集めている。また、個展のタイトルに「性的人々」「彼女の軍隊−小児の夢の仔」「感情教育」といったテーマをそのつど設定すると同時に、作品制作の動機や経緯を短篇小説風の不思議な物語に仕立てて発表するなど、描くことと書くことの両面に深い関心を寄せた制作活動を展開している。
O JUNのこうした絵と文章は、無意識のうちに容認され、慣習化される常識や図式をさりげなくしかし根源的に問いなおすものである。本展では、1996年以降の主な連作に最新作を加えた約100点を、自作の文章とともに紹介した。