アクティヴィティ・パレット
むりえわ
提案者:小田原のどか
以下の図像はちょうど10年前、2011年2月10日に創刊されたPDF詩誌「骨折りダンスっ」に連載していたものです(http://honeoridance.seesaa.net/)。
タイトルの「むりえわ」とは、漢字では「無理会話」と書きます。
禅宗の修行のひとつとして知られ、「知的理解を超えたところで用いられる一部の行為・言動を尊重したもの」と定義されます。
全部で7回続いた「むりえわ」をここに再録します。
ここでは、一本の線、四角形、三角形、円や点、そして文字そのものを拡大したり縮小したり、白という色のバリエーションなど、紙媒体では鑑賞ができないようなことをしたいと考え、そしてまた先人の言動を「絵」として解釈することを試みました。
第5回と7回はディスプレイの角度を変えると、文字が浮かんで見えると思います。
むりえわは誰にでもできる少し大人向けの遊びです。
私はディスプレイを用いましたが、第1回のむりえわのように四角形を書くだけで、あるいは第2回のむりえわのように、紙に一本の線を引くだけでも成立します。
コロナ禍の時代の自宅でできる「遊び」として、みなさんもぜひむりえわをしてみてください。
「むりえわ」 第1回





「むりえわ」 第2回





「むりえわ」 第3回







「むりえわ」 第4回

「むりえわ」 第5回


「むりえわ」 第6回

「むりえわ」 第7回


小田原のどか(彫刻家、評論家)
1985年宮城県仙台市生まれ、東京在住。芸術学博士(筑波大学)。主な展覧会に「あいちトリエンナーレ2019」、「近代を彫刻/超克する」(個展、トーキョーアーツアンドスペース、2019)、「PUBLIC DEVICE」(共同キュレーター、東京藝術大学大学美術館陳列館、2020)。主な編著に『彫刻1:この国の彫刻のはじまりへ/空白の時代、戦時の彫刻』(2018)、『彫刻の問題』(ともにトポフィル、2017)。『芸術新潮』『東京新聞』「美術手帖(ウェブ版)」にて美術評を連載。最近の論考に「近代を彫刻/超克する」(『群像』2021年1月号、講談社)、「われ記念碑を建立せり:水俣メモリアルを再考する」(『現代思想』2020年2月臨時増刊号[磯崎新特集]、青土社)など。
(2021/2/10 時点)
今回のアクティヴィティを提案したおもい
数ヶ月先のこともわからない現状だからこそ、10年先のことを考えてみようと思いました。
10年先のことを考えるそのために、ひるがえって10年前のことを振り返ってみたところ、すっかり忘れていた「むりえわ」のことを思い出しました。
今実践していること
5年、10年、30年、50年という少し間隔のある時間感覚で物事を考えるようにしています。
今大切にしていること
遠方に出掛けることが少なくなったので、自宅周辺の景色をよく見るようになりました。
日が暮れるだけでもひとつの映画を見ているような気分になります。
最古のエンターテインメントがここにあると気付くことができました。