アクティヴィティ・パレット

50個の「てん」から絵をかこう

提案者:勅使河原君江

対象:子どもから大人まで、どんな絵をかこうかと迷っている皆さん
必要道具:紙(どんな色でもどんな材質でもよいです)、描画材料(鉛筆、クレヨン、ペンなど)

みなさんは「今日はどんな絵をかこうかなー?」と迷うことはありませんか?そんな時は、だれでもできる、50個の「てん」から絵をかく方法を試してみてください。また、大人の方で「絵をかくのは苦手」という人もぜひ試してみてください。
ここに紹介する絵をかく方法は、1959年に大阪で発行された童詩雑誌(子どものための詩や絵の雑誌)『きりん』に掲載された嶋本昭三さんという美術作家さんが『きりん』を読む子どもたちに提案した絵のかき方を応用した方法です。

50個の「・」から絵をかく方法
嶋本昭三 「絵 ―― その十八 五十の『てん』」 童詩雑誌『きりん』12巻12号、1959年12月、日本童詩研究会、p.1

50個の「てん」から絵をかく方法

  1. 身近にある紙(大きさや色はどんなものでもかまいません)を用意して、鉛筆でデタラメに50個の「てん」をうってください。このやり方で何枚かかいてみましょう。
  2. 50個のてんをうつ
  3. 1でうった50個の「てん」を身近にある描画材料(色鉛筆やクレヨン、ペンなど何でもよいです)でつなげていきましょう。「てん」をひとりぼっちにしないように、どこかの「てん」とつなげてあげましょう。つなぐ線は直線でも、ぐにゃぐにゃな線でもよいですよ。一つの「てん」から何本かの線がのびてもよいかもしれませんね。
    さあ、いろんな線で「てん」をつないでいきましょう。
  4. てんをつなぐ
  5. 50個の「てん」からひかれた線で、なんだかよくわからないけど、おもしろい形が自然にかけていませんか?この、なんだかよくわからないけど、おもしろい形の絵は「自分がこうかこう」と思ってかく絵とは全くちがう絵になっているでしょう。
    この絵のかきかたを童詩雑誌『きりん』で教えてくれた美術作家の嶋本昭三さんは「きゅうくつなわくの中で、しかも自由に考えられる力がどのくらいあるのか、ためしてみましょう」といっています。今は外出の機会が制限されていますが、そんな中でもみなさんが自由に考えられる力を発揮して絵をかいてみましょう!
  6. はじめにかいた位置 はじめにかいた位置
    90度右回りの位置 90度右回りの位置
  7. 次からは、嶋本昭三さんの絵のかきかたを応用した方法です。
    3でできた、なんだかよくわからないけど、おもしろい形の絵をじーっと見てください。何かの形に見えてきませんか?なかなか、形が見えてこない人は、絵を上下を逆にして見てみましょう。それでも形が見えてこない人は、90度右回りにまわしてみたり、左回りにまわして絵を見てください。
    なにかの形に見えたら、そのイメージに近づけるようにかき足していきましょう。
  8. 色を塗ったり、かき加えたりする イメージした形に近づくように色を塗ったり、かき加えたりしていきます。
  9. 完成した絵をお家の人やお友達に見てもらいましょう。絵を見ながら、どんなお話がとびだすかな?思いもよらない絵に見た人は驚いたり、疑問がでたり、いろんなお話ができることでしょう。
    絵を見てくれた人のお話をきいて、みなさんは、見た人がもっともっと驚いたり、なんだろう?と思うような絵をかきたくなりませんか?
    嶋本昭三さんも、自分の絵を見た人がとても驚いたり、だれも見たことのない絵をかこうとがんばった人です。みなさんもそんな嶋本さんの絵に興味をもったら、ぜひ美術館に絵を見にきてくださいね。
  10. 題名「おしゃれなオウム」 題名「おしゃれなオウム」の完成!
    絵を見ながら話す様子 絵を見ながらいろんなお話しをしてみましょう。
勅使河原君江

勅使河原君江
(神戸大学大学院 人間発達環境学研究科准教授)

童詩雑誌『きりん』の研究をしながら、美術館教育普及活動の研究と実践をしています。
美術・造形活動を通して、子どもの発達をどうやって支えられるかを考えていきたいと思っています。
(2021/3/26 時点)

今回のアクティヴィティを提案したおもい

私は長年、童詩雑誌『きりん』の研究をしています。童詩雑誌『きりん』とは1948年から大阪で発行されていた子どもたちの詩や綴方、絵画作品が掲載された雑誌です。この雑誌には、当時、関西地方で活動していた具体美術協会という美術作家の団体に所属していた嶋本昭三さんをはじめ、多くの美術作家さんたちが、子どもの楽しい造形活動を提案する文章や絵をたくさん掲載しています。今回は嶋本さんが紹介していた文章をもとに、今回のアクティヴィティを提案してみました。どうぞ、みなさんもいろんな美術に関わって「きゅうくつなわくの中でも、自由に考えられる力」をたくさんたくさん蓄えてください。 

今実践していること

早寝早起き朝ごはん

今大切にしていること

心の健康、体の健康をモットーにゆるゆると日々を過ごしていますことを大切にしています。