R.H.さん
〈リスニングした場所〉
電車のロングシート(縦座席)の左端
〈リスニングした日時〉
8/31(火) 17:36
〈背景などのコメント〉
大学から自宅に向かう車内にて、いつも同じ景色の日常であるが、私にとってそれは幻想の魅惑が同居する。
ex.2
聞こえた音
車輪の摩擦音
アナウンス
ビニール袋の音ワシャ
人の足音:ヒール
ドアの閉まる音
カンカン
人の話し声
風潮の音
くしゃみ
汽笛音
発射合図音ぷるるるるるる名駅
ピンポンピンポンドアの開くと同時に
シューっ
電車のすれ違う音
選択した音:車輪の摩擦音
ex.3
選んだ音キーワードは「車輪の摩擦音」、物キーワードは「おろしたての靴」
「いつもと同じ電車に乗っているはずなのに」ふっと 私の脳裏をこの言葉が駆け巡る。夏のじめっとした感じ、なんとももどかしい。ホームから車内に入ると、冷ややかな空気が迎えてくれる。それが、へばりついた気持ちをも拭い去ってくれる気がする。この夏はこれの繰り返しが続くだろう。いつもと同じ車両に、同じロングシートの左端に座る。ルーティーン化されたそれのはずなのに私にとっては毎度、別世界に感じさえもする。なぜそう思わせているのかはわからない。‥‥‥‥‥
「キーヅ」甲高い音とともに車内が少し傾く。車輪がレールの繋ぎ目の不連続面によってなのか摩擦音と衝撃音が伝わる。この瞬間、私の中で打撃としてダイレクトに何かが波打つ。何とは具体的に絞ることは難しいが、それは、心の摩擦かもしれない。‥‥‥‥‥小学2年の夏休み‥‥‥‥‥いつも一緒に下校をしていた友人がいた。
その日、彼の足元を見るとピカピカのかっこいい靴を履いていた。私は思わず彼に、「その靴かっこいいね。新品の靴だね」と言った。すると彼は私の胸ぐらをつかみ、睨みつけ、「ふざけるな」と言い放ち、帰ってしまった。私は何が彼をそうさせたのかわけもわからず呆然と立ちすくむ。今でも心のどこかにこびりつく。彼のあの顔ではなく、おろしたての靴を。