S.Y.さん
〈リスニングした場所〉
実家の台所
〈リスニングした日時〉
8月31日
〈背景などのコメント〉
知ってるけど知らないって事がある
ex.3
祖母が死んでから49日が経った、四十九日である。朝から少しきつい礼服を着て山の麓にある徳運寺という寺へ向かう。「今日でばあちゃんは仏様になるのよ。」母は僕にそう言った。もう家からおばあちゃんはいなくなるのかもしれないと思って昨日畑から採ったきゅうりを輪切りにしお酢をちょっとかけて仏壇に置いた。何か音がする。
僕は祖母の遺骨が入った壺、が入った箱を持っていった。なんだか少し重い。5月くらいに来ると藤棚が綺麗な寺だったが今は時期を少し過ぎていた。そこは祖母の両親と兄のお墓がある所でよくおばあちゃんとお墓参りにきていたが、本堂に入るのは初めてのことだった、知っている顔のお坊さんが法要を行なってくれた。木魚でビートを刻む、お経を読む。やはり音と人間には深い関わりがあるんだなあと思った。そしておばあちゃんは死んだんだなあと思いながらお焼香をした。そして外へ出て坂を登りお墓についた。そんなところが開くのかというところが開き、そこには祖母の両親と兄の遺骨が置かれていた。そして祖母の遺骨をそこに置いた。四十九日にする事が終わった。お寺で出されたお茶とお茶菓子がすごくおいしかった。
帰り、僕は遺骨ではなく今度は祖母の遺影を持っていた。通り道にあるワイナリーでアイスクリームを食べた。そこはワイナリーなだけに巨峰アイスがおすすめの所で僕以外はそれかバニラとのミックスを食べていた。僕はバニラを食べた。車に落とすと怒られるので頑張って食べた。おいしかった。
山道で揺られながら遺影を見る。綺麗な顔をしている。今の時代加工して綺麗にしてくれるらしいがそれでもいい顔だと思う。長かった髪の毛は副作用で抜けていったがまた生えてきてふさふさしている。その時に気づく、こんなところにほくろがあったのか。
お昼は帰りに買ったお弁当を家でみんなで食べた。また何か音がする。ああなんだ換気扇か。