写実の系譜Ⅰ・洋風表現の導入 -江戸中期から明治初期まで

会期:1985年12月7日~ 1986年 1月19日

日本の近代洋画は、一般的には江戸末期から明治初期にかけて川上冬崖、高橋由一らによって開拓されてきたといわれる。しかしながら、こうした動きへの曙光は、江戸中期以降、蘭学の解禁とともに広がり始めた洋学研究、より直接的にはオランダその他から流入した書物の挿絵、銅版画等に触発され、遠近法や明暗法を用いて描かれた絵画や版画の中に、既に認めることができる。早くは1740年頃の奥村政信の浮絵や、円山応挙の眼鏡絵にはじまり、つづいて1770年代以降、小田野直武、佐竹曙山らの秋田蘭画や、司馬江漢、亜欧堂田善らの江戸系洋風画として成立し、また鎖国下の唯一の窓口である長崎では長崎系洋風画が発生、展開した。さらに洋風表現の影響は谷文晁、渡辺崋山ら江戸南画や、葛飾北斎、歌川広重などの浮世絵風景版画にも及んでいる。それらは西洋の写実表現に学んで、従来みられなかった個別性と迫真性を追求しているという点で、まさに近代絵画の先駆をなすものと考えられる。
わが国の美術における写実の系譜を辿ろうとするこの展覧会は、その第Ⅰ部で、江戸中期から明治初期にかけてのこうした写実表現の流れを、洋風表現の導入という視点から捉え、日本の絵画における近代の胎動と成立を探ろうとするものであった。全体を時代と傾向の違いからⅠ:浮絵・眼鏡絵、Ⅱ:秋田蘭画、Ⅲ:江戸系洋風画、Ⅳ:長崎系洋風画、Ⅴ:江戸南画、Ⅵ:北斎・国芳・広重、Ⅶ:明治初期絵画の七つのジャンルに分け、江戸期に新たな画風を示した画家23人と、幕末、明治初期に活躍した洋画家9人の、国宝、重要文化財を含む内外の作品約190点によって構成した。
会場は、4階と3階の展示室を使用した。なお、本展は、当館に先立ち、東京国立近代美術館(昭和60年10月12日~11月24日)で開催された。

  • 入場者:総数3,465人(1日平均112人)
  • 主催:国立国際美術館
  • 共催:京都国立近代美術館/東京国立近代美術館
  • カタログ:「写実の系譜Ⅰ・洋風表現の導入−江戸中期から明治初期まで」
    25.7×19cm/241ページ/カラー32ページ/白黒145ページ
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