カメラでとらえた名画<館蔵写真パネル展>

会期:1984年6月28日~8月14日

本展は、昭和53年度および昭和54年度購入の石元泰博撮影「国宝両界曼荼羅図」(教王護国寺蔵)写真117点と、また同氏撮影のクロード・モネ作「睡蓮(ニューヨーク近代美術館蔵)」写真20点、昭和55年度購入の岩宮武二撮影の横山大観作「重要文化財生々流転(東京国立近代美術館蔵)」写真12点、および、昭和56年度購入の奈良原一高撮影「南蛮屏風(リスボン国立博物館蔵)」写真22点を一堂に紹介したものである。
これらの写真は、オリジナル作品の原寸大のものと、部分拡大写真とがあり、原寸大のカラー写真からは、名画の持つ溌剌とした生命感をくみとることができ、また、部分拡大写真からは、肉眼ではともすれば見すごされがちな名画の細部や、写真家の目を通した名画の特徴ある部分のイメージに接することができ、見るものを新たな世界に誘うのである。
これらの写真は、両界曼荼羅をのぞいては、いずれも当館の依頼により、石元泰博、岩宮武二、奈良原一高という日本を代表する写真家が現地に赴いて撮影したものである。
 両界曼荼羅とは、胎蔵界、金剛界の二つの世界観により、密教の真理・本質を表現した仏画であり、この両界曼荼羅(絹本著色 二幅各 183.3×154cm)は、教王護国寺(東寺)のもので、9世紀末から10世紀初頭の作といわれ、日本仏教美術史上の名作で国宝に指定されている。石元泰博は1978年『曼荼羅』により写真協会年度賞、芸術選奨文部大臣賞を受賞した。
クロード・モネ(1840−1926)は、パリに生まれた印象派の代表的な画家の一人であり、ニューヨーク近代美術館の「睡蓮」は3枚続きのキャンパス (1枚200×425cm)に描かれており、モネ晩年の大作として知られている。石元は、モネの睡蓮の筆のタッチを克明に撮影している。
横山大観(1868−1958)の生々流転(1923年、絹本墨画)は、水が山中の源を発して大河となり、やがて大海に注ぎ、雲となる水の流転の姿を、長巻(55.4×3864cm)に描いたものである。岩宮武二(1920−)は、この生々流転を6時間もかけて撮影、微妙微細、克明に大観の水墨技法を記録している。
南蛮屏風は、ポルトガルのリスボン国立博物館に秘蔵されているもので、故長池猛氏(神戸)のもとから、戦後、在日ポルトガル大使館を経て、現在の博物館のものとなった。左隻の南蛮船を浮かべる海原が、群青色でなく、一面に銀箔を置いて、その上に墨線の青海派を並置してある点に特色がある。奈良原一高 (1931−)は「この時代、日本人がはじめて西欧という異文化の存在に出会ったショックは、いかばかり新鮮であったろうか。画家の確かな眼光はその事実を生き生きと描き出している。僕たちはリスボンの街角でこの屏風の登場人物そっくりの人間につぎつぎに出会って驚いた。そして、アジアの果てとヨーロッパの果てとを結んだこの素晴らしい遭遇の環に感嘆の声を上げるのだった。」と撮影の感想を述べている。
会場は4階、3階、2階を使用した。

  • 入場者:総数4,103人(1日平均97人)
  • 主催:国立国際美術館
  • パンフレット:25.6×18.1cm/4ページ/白黒10点
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