現代の作家1. 田淵安一 湯原和夫 吉原英雄

会期:1979年2月1日~3月20日

「現代の作家」は本展を第一回とし、今後シリーズとしての開催を予定している。作家選定にあたっては、ジャンルを問わず国際的な関連性を重視する立場をとり、主として現役の日本人作家を、新作をも含めた回顧展形式で紹介するものであるが、個々の作品鑑賞はもとより、その全体としての成果を期待するものでもある。
今回は油彩、彫刻、版画から、田渕安一、湯原和夫、吉原英雄の三作家を取り上げた。
田渕安一は1921年に生まれ、東大美術史学科を卒業後、1951年に渡仏している。北欧表現主義の影響から出発し、やがて水墨画的な作風へ向かい、60年前後のアンフォルメルの渦中では、宗達を思わせる流動的な筆致の単色の世界を展開する。62年ごろからはカラリストとしての資質を明らかにし、中国的な、あるいはペルシア的な感覚を漂わせる原色の空間に、肉感的なイメージを横溢させる。近年の風景画の連作では、樹々や田園の眺めを、華麗な色彩とみずみずしい筆致で大画面に描きとめている。53年から78年までの油彩52点と、水彩8点を展示。
湯原和夫は30年に生まれ、東京芸大彫刻科を卒業後、丸善石油芸術奨励賞展で大賞を得て63年に渡仏している。すでに渡仏前から鉄鋳物の表面研磨を試みていたが、パリでアルミの美しさにふれてからはその鏡面研磨や、クロームメッキ、ステンレスの鏡面などによる幾何学的形態の作品を発表している。70年前後には、塗装された色面や人造毛皮、鉄の錆といった異質の要素と鏡面とを直截に突き合わす方法をも試みている。いずれも素材の醇乎とした性質や際立つ対比に焦点があり、形の簡潔さと結んで清洌な存在感に貫かれている。近作では、ステンレスやジュラノックスなどの金属とガラスとを組み合わせ、素材とフォルムへの思考をさらにとぎすました小品を試みている。58年から78年までの彫刻22点と平面作品21点を展示。
吉原英雄は31年に生まれ、具体美術協会やデモクラート美術家協会への参加を作家活動の出発点としている。展示は57年のリトグラフを冒頭におくが、作家が独自のスタイルを確立するのは、60年代後半に入って、物や女体の断片の対比による違和感や相乗効果を意識的に取り入れだしてからである。「エロチックサスペンス」とも称せられる、このポップ・アート的な手法による虚構の空間は、しかしリトと銅版という硬軟二つの技法の併用によって、わい雑な外界のぜい肉をそぎ落としたかのような鋭い緊張と現実感覚を残している。銅版を中心とした近作の画集「ペット・ショップ」では、おだやかな物語性をはらむ叙情的な世界を見せている。79年までの版画95点とアクリル、グワッシュなどによる絵画22点を展示。

  • 入場者:総数12,352人(1日平均287人)
  • 主催:国立国際美術館
  • カタログ:「現代の作家1. 田淵安一 湯原和夫 吉原英雄」
    20×20cm、3分冊 
    田淵 48ページ/カラー4ページ/白黒30ページ 
    湯原 36ページ/カラー4ページ/白黒18ページ 
    吉原 48ページ/カラー4ページ/白黒27ページ
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